「翻訳」に頼らない防災 災害時に命を繋ぐ「やさしい日本語」の即効性

災害時、外国人住民への情報伝達において、多言語翻訳の限界が指摘されています。最新のガイドライン(総務省や山梨県等)では、すべての言語に翻訳するのではなく、「やさしい日本語」を活用し、情報を極限までシンプルに削ぎ落とす方針が推奨され始めました。複雑な文章を減らし、視覚情報(ピクトグラム)と平易な日本語を組み合わせることで、迅速かつ正確に避難行動を促す動きが加速しています。

なぜ今、多言語対応よりも「日本語」への回帰なのか。
それは災害時の「時間」との戦いにあります。数十カ国語への翻訳を行政がリアルタイムで行うことは物理的に不可能です。 専門的な視点で見ると、在留外国人の多くは英語よりも「簡単な日本語」の方を理解できるというデータがあります。翻訳ソフトに頼りすぎた結果、誤訳による混乱を招くよりも、日本人が普段使っている言葉を少し言い換えるだけで、情報の到達率は格段に上がります。これは、外国人支援という枠を超え、高齢者や子どもにも伝わりやすいユニバーサルデザインとしての側面も持っており、地域防災の質を根本から変える転換点と言えるでしょう。

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注意点

ここで陥りやすいのが、丁寧すぎる日本語の使用です。「避難して下さい」や「高台へ移動をお願いします」といった敬語や婉曲表現は、緊急時にはノイズとなります。また、翻訳アプリを過信し、長文をそのまま翻訳して発信することも避けるべきです。文法が複雑になればなるほど、誤訳のリスクと読む側の負担が増大します。結果として「読まれない」「伝わらない」という最悪の事態を招きかねない点に、十分な警戒が必要です。

解決策

情報のスリム化と「やさしい日本語」への変換が解決のカギです。以下の3点を意識してください。

  1. 文章を短く切る 「地震が起きたので、すぐに逃げてください」ではなく、「じしんです。すぐに にげて」と区切ります。
  2. 難しい言葉を言い換える 「高台(たかだい)」は「たかい ところ」、「避難(ひなん)」は「にげる」と言い換えます。熟語を避け、動詞を中心に構成します。
  3. 視覚情報の活用 文字情報を減らすため、ピクトグラム(絵文字)を併用します。一目で危険が伝わるアイコンに、短い平易な日本語を添えるだけで十分です。

まとめ

災害時、私たちの隣にいる外国人を助けるのは、高度な翻訳機ではなく、あなたの「やさしい一言」かもしれません。 今後は「どう翻訳するか」ではなく、「どう日本語を簡単にするか」という視点で防災情報をチェックしてみてください。「にげて」「あぶない」といった短い言葉が、国境を超えて命を守る共通言語になります。平時の今こそ、地域や社内でその意識を共有し、備えておくべきです。

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