新制度「育成就労」移行で変わる外国人材受け入れ。要となる「外部監査人」の重要性と企業の対策

新制度「育成就労」移行で変わる外国人材受け入れ。要となる「外部監査人」の重要性と企業の対策
記事の要点
- Who: 外国人材を受け入れる監理支援機関(現・監理団体)および受け入れ企業
- What: 従来の技能実習制度から「育成就労制度」への移行に伴い、外部監査人の役割と要件が厳格化されている
- When: 2024年の関連法成立以降、2027年までの新制度完全施行に向けて現在準備が進められている
- Where: 日本全国の外国人材受け入れ現場
- Why: 外国人材の人権保護、労働環境の適正化、および監理支援機関の中立性・独立性を担保するため
- How: 法的要件を満たす外部の専門家(行政書士や社会保険労務士など)を外部監査人として選任し、定期的な監査を実施することでコンプライアンス体制を強化する
考察:育成就労制度の幕開けと外部監査人に求められる新たな役割
日本国内の深刻な人手不足を背景に、外国人材の受け入れ制度は今、歴史的な転換期を迎えています。長年運用されてきた「技能実習制度」は、国際貢献と技術移転を目的としながらも、一部の現場における劣悪な労働環境や人権侵害が国内外から厳しく批判されてきました。これを受けて新たに創設される「育成就労制度」は、人材の「育成」と「保護」を両立させ、我が国の将来を支える労働力として外国人材を適切に受け入れることを明確な目的としています。新制度では、本人の意向による転籍(転職)が一定の条件下で認められるようになるなど、外国人材の権利がより一層保護される仕組みへと進化します。
この大きな制度移行において、最も注目すべき変更点の一つが「監理支援機関」(旧・監理団体)の適正化です。これまでの制度では、監理団体と受け入れ企業との関係性が不透明であったり、過度ななれ合いが生じたりすることで、適切な監査や指導が行われないケースが散見されました。育成就労制度では、監理支援機関の独立性と中立性を担保することが極めて重要視されており、その要となるのが「外部監査人」の存在です。
外部監査人は、監理支援機関の業務が法令に則り適正に行われているか、外国人材に対する支援計画が確実に実行されているかを、第三者の客観的な視点から厳しくチェックする役割を担います。新制度では、この外部監査人の選任要件が厳格化され、形式的な監査ではなく、実質的なガバナンスの強化が求められています。
今後、外部監査人には、入管法をはじめとする出入国関連の法令はもちろんのこと、労働基準法や労働安全衛生法といった労働関係法令に関する高度な専門知識が必要不可欠となります。制度が複雑化し、外国人材の権利保護が強化される中、監査の質は監理支援機関の存続、ひいては受け入れ企業の事業継続そのものに直結するといっても過言ではありません。外部監査人は単なるお目付け役ではなく、制度の健全な発展を牽引するナビゲーターとしての役割を期待されているのです。
注意点:制度移行に潜むコンプライアンス上のリスク
新制度への移行準備を進めるにあたり、監理支援機関および受け入れ企業が直面する潜在的なリスクは多岐にわたります。以下の点に十分な警戒が必要です。
- 外部監査人の選任要件に対する認識不足育成就労制度では、外部監査人の独立性を確保するため、監理支援機関の役職員との親族関係や、過去一定期間における利害関係者の就任が厳しく制限されます。適格性を欠く人物を安易に選任した場合、監査自体が無効となるばかりか、監理支援機関としての許可が取り消される重大なリスクがあります。法令の細かな要件を正確に把握せずに選任を進めることは、組織の土台を揺るがす非常に危険な行為です。
- 監査業務の形骸化と法令違反の見落とし長年の慣例に引きずられ、監査が単なる書類の整合性チェックに終始してしまう「監査の形骸化」は最大のリスクです。現場の実態を伴わない監査では、タイムカードの不正打刻による不当な長時間労働や、手当の未払い、あるいは職場内でのハラスメントといった深刻な法令違反を見逃す恐れがあります。一度でも重大な違反が発覚すれば、メディアの報道やSNSによる拡散を通じて企業のレピュテーション(社会的信用)は瞬く間に失墜します。結果として新規の外国人材受け入れが不可能になるだけでなく、既存の取引先からの契約解除など、企業経営に致命的なダメージを与えることになります。
- 専門知識の欠如による指導・支援の機能不全外国人材を取り巻く法的環境は、入管法と労働法という二つの巨大な法体系が複雑に絡み合っています。一方の知識しか持ち合わせていない監査人では、例えば在留資格の変更要件と日々の労働条件の整合性について、的確な判断を下すことができません。複雑化する労務トラブルに対し、法的な裏付けのある適切な助言や指導ができなければ、監理支援機関としての指導監督義務を果たしていないとみなされ、厳しい行政指導の対象となる可能性があります。
解決策:リスクを機会に変える専門家との連携とワンストップサポート
上述したリスクを完全に回避し、新制度下において持続可能でクリーンな受け入れ体制を構築するためには、どのような対策を講じるべきでしょうか。
第一に、実務経験と最新の専門知識を兼ね備えた適格な外部監査人を慎重に選定することです。監査人は単に法令違反を指摘して終わるのではなく、現場の課題を徹底的に洗い出し、具体的な改善に向けた道筋を示すコンサルティング能力が求められます。
第二に、外部監査人からの客観的なフィードバックを組織全体のコンプライアンス向上に直結させる体制づくりです。監査結果を経営層だけで共有するのではなく、受け入れ現場の担当者レベルまで落とし込み、定期的な社内研修を実施することで、組織全体の意識改革と知識のアップデートを図ることが重要です。
もし、貴団体が信頼できる外部監査人をお探しでしたら、ぜひ当事務所にお任せください。当事務所は、行政書士と社会保険労務士という、外国人材受け入れに不可欠な二つの国家資格を持つ専門家が在籍しております。行政書士としての出入国管理・在留資格手続きに関する深い知見と、社会保険労務士としての労働法務・労務管理の実務経験を融合させ、多角的な視点から精度の高い実質的な監査を実施いたします。
当事務所の最大の強みは、単なる監査業務にとどまらない「ワンストップサービス」の提供にあります。入管業務と労務管理の窓口を一本化することで、情報伝達の齟齬を防ぎ、対応スピードを劇的に向上させることが可能です。外部監査人としての就任はもちろんのこと、監査を通じて発見された労務管理上の課題に対する具体的な改善策の立案、時代に合わせた就業規則の見直し、さらには外国人材と企業間のコミュニケーション改善サポートまで、一貫して対応いたします。入管法と労働法、両輪の専門知識を持つ当事務所だからこそ、監理支援機関と受け入れ企業の皆様に絶対的な安心と確実性をお届けすることができます。
まとめ:新しい時代の人材戦略に向けて
技能実習から育成就労への制度移行は、単なる名称変更や法律のマイナーチェンジではありません。それは、日本の外国人材受け入れ体制を根本から見直し、真の意味での「共生社会」を実現するための大きな一歩です。そして、新しいルールの中で企業が成長を続けるための試金石でもあります。
この変革期において、外部監査人の存在は、企業と外国人材の双方を不測の事態から守り、健全で持続可能な関係を築くための重要な要となります。制度の完全施行に向けた準備の時間は、決して長くはありません。直前になって慌てることのないよう、今のうちから経験豊富な専門家と連携し、揺るぎないコンプライアンス体制を構築しておくことが、未来の安定した企業経営へと繋がります。
正しい知識と頼れるパートナーと共に、リスクを最小限に抑え、外国人材の活躍という大きな果実を手にする。そんな新しい時代の人材戦略を、当事務所と共に確かなものにしていきましょう。皆様からのご相談を、心よりお待ち申し上げております。
