外国人採用という新たな選択肢。
その可能性を「リスク」にしないための専門家活用術
~その採用、本当に適法ですか? 知らないでは済まされない落とし穴~
少子高齢化が進み、人材確保がますます困難になる中、意欲あふれる優秀な外国人材の採用は、企業の成長を加速させる強力な選択肢となっています。
しかし、その一方で、「手続きが複雑でよくわからない」「採用後にトラブルが起きたらどうしよう」といった不安から、一歩を踏出せない経営者の方も多いのではないでしょうか。
外国人雇用は、日本人を雇用する場合とは異なり、出入国管理及び難民認定法(入管法)と労働関連法という二つの法律が複雑に絡み合います。軽い気持ちで採用に踏み切った結果、気づかぬうちに「不法就労助長罪」という重い罪に問われ、企業の存続が危ぶまれる事態に陥るケースも後を絶ちません。
この記事では、外国人雇用のメリットから、採用時・採用後に潜む具体的なリスクと対策、そしてなぜ専門家である社会保険労務士・行政書士のサポートが不可欠なのかを、テーマ別に解説します。
テーマ1:なぜ今、外国人採用なのか? 企業が享受できる確かなメリット
まず、外国人材が貴社にもたらす価値について考えてみましょう。
- 優秀な人材・若手人材の確保:
日本国内では採用が難しい専門知識を持つ人材や、意欲の高い若手労働力を確保しやすくなります。 - 社内の活性化とグローバル化:
異なる文化や価値観を持つ人材が加わることで、日本人社員にも良い刺激が与えられ、組織全体の活性化に繋がります。新たなアイデアやイノベーションが生まれる土壌が育まれます。 - 海外展開の足がかり:
母国とのネットワークを持つ人材は、将来の海外進出において強力なキーパーソンとなり得ます。インバウンド需要への対応力も格段に向上します。
これらのメリットは、適切な管理体制があって初めて享受できるものです。
テーマ2:採用選考時の落とし穴 ― 「在留カード」一枚に潜む無数の確認事項
外国人採用の第一歩にして最大の関門が、応募者の「在留資格」が、貴社で従事させたい業務内容と一致しているか の確認です。これを怠ると、採用した瞬間に違法状態となります。
【経営者が抱える困難】
- 複雑な在留資格の判別:
在留資格は「技術・人文知識・国際業務」や「特定技能」など約30種類あり、それぞれ就労できる業務範囲が厳格に定められています。例えば、「翻訳・通訳」の業務で採用した人材に、工場のライン作業をさせることは原則としてできません。 - 「資格外活動許可」の確認:
留学生のアルバイトなどを採用する場合、原則として「資格外活動許可」が必要です。許可があっても「週28時間以内」といった厳格な時間制限があり、この管理を怠れば不法就労となります。 - 在留カードの真贋確認:
在留カードが偽造されているケースも残念ながら存在します。カードの番号が有効か、出入国在留管理庁のウェブサイトで確認するなどの自衛策が求められます。
これらの確認作業には、入管法に関する専門的な知識が不可欠です。面接時に国籍を理由に応募を拒否することはできず、あくまでスキルや能力で判断する必要があります。
テーマ3:採用後の課題 ― 日本人と同じようで全く違う労務管理
無事に採用が決まっても、それで終わりではありません。むしろ、ここからが本番です。
【経営者が抱える困難】
- ハローワークへの届出義務:
外国人を一人でも雇用した場合、または離職した場合は、その氏名や在留資格等をハローワークへ届け出る義務があります。これを怠ると、30万円以下の罰金の対象となります。 - 労働・社会保険の適用:
労働基準法や最低賃金法、労働保険、社会保険は、国籍を問わず日本人と同様に適用されます。
保険料負担を避けるために加入させない、といったことは絶対に許されません。 - 言語・文化の壁への配慮:
労働条件の通知や就業規則の説明は、外国人が理解できる言語で行うよう努める必要があります。
安全衛生教育も、図解を用いるなど、確実に理解できる方法で行わなければなりません。これらは法律で定められた事業主の努力義務です。 - 生活面でのサポート:
役所での手続き、銀行口座の開設、住居の確保、ゴミ出しのルールなど、日本人にとっては当たり前のことでも、外国人にとっては大きな壁です。こうした生活面のサポート不足が、早期離職の原因となることも少なくありません。
これらの管理業務は、担当者に多大な負担を強いるだけでなく、一つでも対応を誤れば労務トラブルに発展するリスクをはらんでいます。
テーマ4:最大のリスク「不法就労助長罪」という現実
最も恐ろしいのが、意図せずして不法就労に関わってしまうことです。
- 在留期限が切れていることを知らずに雇用し続けた
- 許可されていない業務に従事させてしまった
- 留学生のアルバイトが週28時間を超えて働いていることに気づかなかった
このようなケースでも、事業主は「不法就労助長罪」に問われ、「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金」という極めて重い罰則が科される可能性があります。これは「知らなかった」では済まされない、重大な犯罪です。
【まとめ】専門家と共に築く、安心の外国人雇用体制
外国人雇用は、「入管法」の専門家である行政書士と、「労働法・社会保険」の専門家である社会保険労務士、両方の知見が不可欠な領域です。
私たち専門家にご相談いただくことで、
- 採用段階での適法性チェック:
応募者の在留資格が貴社の業務に適合するかを正確に判断し、不法就労リスクを根絶します。 - 煩雑な手続きの代行:
在留資格の変更・更新手続き(行政書士業務)、ハローワークへの届出や労働・社会保険手続き(社労士業務)をワンストップで代行し、経営者や担当者の負担を大幅に軽減します。 - 採用後の継続的なサポート:
法改正への対応はもちろん、文化の違いから生じる問題への助言など、継続的に貴社をサポートします。
外国人雇用は、もはや特別なことではありません。しかし、その管理は特別な専門知識を要します。リスク管理を専門家に任せ、経営者の皆様は安心して事業の成長に専念してください。
未来を拓く人材戦略の第一歩として、まずはお気軽に当事務所へご相談ください。
